アバンギャルド茶会 茶の湯コラム 【アバ茶コラム Vol.14】欧米人の「アート」、日本人の「用の美」 ~ニューヨークのギャラリストからのアドバイス

【アバ茶コラム Vol.14】欧米人の「アート」、日本人の「用の美」 ~ニューヨークのギャラリストからのアドバイス

2014.04.10

茶の湯コラム


【レポート】クールジャパンプロジェクト アバ茶、ニューヨークでお茶会をする!

今年2月、経済産業省「クールジャパンプロジェクト」の一環としてニューヨークで
お茶会をしてきました。このようなイベントに参加してくださる方ですから、そもそも
日本や日本文化に興味のある方とが集まっているとはいえ、一緒に参加してくれた作家
にも熱心に質問をしていてとても盛り上がっていました。

現地のアーティストやギャラリストの方の反応も上々でした。
その中で今後、海外で活動するにあたり重要な示唆を頂いたギャラリストのお話しを
紹介したいと思います。

出来る限り臨場感ある情報として伝えたいので彼女になり替わって!

欧米人の「アート」、日本人の「用の美」

あなたは「茶道」を通じて、日本文化を海外に発信したいんですね。
でも、欧米で日本文化を発信するとき「アート」に対する価値観の違いを
理解しておかなければいけません。

欧米人が考える「アート(art)」とは鑑賞することを目的としていますので
使えないものです。でも、あなたは今回持ってきた茶碗や茶道具を「アート」と
言っていましたが、それらは全て使えてしまいます。

日本人的感覚で言うところの『用の美』ですね。
欧米人にはそのような概念はありません。欧米では使えてしまった瞬間に
「アート(art)」ではなく「プロダクト(product)」または「デザイン(design)」
になってしまいます。つまり、明らかにステータスとしては下がってしまいます。

もし、あなたがそれらの茶碗や茶道具を「アート(art)」として発信していきたい
のであれば、なぜ使えるにも関わらず「アート(art)」なのかという根本的な概念
や価値観をしっかりとプレゼンテーションしなければいけません。

つまり、欧米人に「用の美」という新しい価値観を植えつけない限り、欧米では
いつまでたっても「プロダクト(product)」の地位からは脱することはありません。

「プロダクト」から「アート」への進化

この話しを聞いたとき、まさに目からウロコでした。
アート、アートと安易に使っていましたが、その本質的な意味をちゃんと捉えなければ
本当の意味での海外発信はできないということですね。こういう感覚はやはりその土地を
訪れて、現地の人たちと交わることでしか得ることができないものです。

日本から「プロダクト」だけではなく、本物の「アート」を発信するためには
我々の概念も進化しなければいけないのでしょうね。

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