アバンギャルド茶会 アバ茶道具記 【アバ茶道具記 Vol.2】篠原さんは、男前な茶碗を作るべき!というお節介から生まれた茶碗? 篠原希/信楽引出茶碗(銘「気層」)

【アバ茶道具記 Vol.2】篠原さんは、男前な茶碗を作るべき!というお節介から生まれた茶碗? 篠原希/信楽引出茶碗(銘「気層」)


どんな「茶碗」が好きですか?

こう聞かれたら迷わず「焼き締め!」と言っちゃいますね。「備前」「信楽」など無釉焼き締めの茶碗は男心をくすぐるのですが、いかんせん「地味」です。。。焼き締めばかり並ぶと、それはそれは渋い席になります。

でも、そんな「焼き締め=地味」というイメージを覆してくれたのが、今回紹介する信楽焼 伝統工芸士の篠原希さんの「信楽引出茶碗」です。(茶碗、日用使いの器も含めて一番多く作品を持っている作家さんです!プチ自慢。笑)

篠原希さんとの出会い 

前回紹介した、陶芸家 沼野秀章さんと同じく篠原さんとの出会いはTwitterでした。起点は、またもや「東日本大震災」なのですが、詳細は「【AVAな人 Vol.22】 陶芸家「篠原希」@信楽 ~アバ茶好み「茶碗」の進化!炎の魔術師!!」で紹介しています。

毎年、「東武百貨店 池袋店」で個展をされているのですが、2011年の震災直後の個展で初めてお会いしました。それまで百貨店に個展を見に行くなんて恐れ多い!?と思っていました。さらに、初めてお会いするので、すごーいドキドキしていたのを今でもよく覚えています。でも、お会いしたら、その緊張もどこへやら!?(おそらく、篠原さんのお人柄に惚れている方も多いと思います。)

茶碗をつくることの意味

篠原さんは薪(主に「赤松」)を燃料にする「穴窯」で、釉薬をかけずにつくる「焼き締め」という技法で器を作っています。

写真からのその臨場感が伝わってきますね!動画を見せてもらいましたが、まさに命がけの「真剣勝負!」。そんな中でも一番印象迫力ある作品が「信楽大壺」です。窯を焚くときには必ず何個かはいれるのだそうです。

是非、実物をみてもらいたい!豪快で男前な大壺です!いつか、この大壺がおけるようなおうちを作ります!!(篠原さん、それまで待っていてくださいね。笑)

で、2011年にはじめてお会いした頃、「茶碗を作ること」に悩んでいたそうです。もう、茶碗なんて作るのやめようかな!と思うくらいに。。。その当時の茶碗がこちらです。

篠原希 初代信楽引出茶碗

あの豪快な「信楽大壺」が篠原さんの印象だったのに、この茶碗を見た時に「こじんまりとしていて、勿体ないなあ」と勝手に思っていました。(今考えたら相当失礼ですね。。。汗)

その後、ひょんなことから僕の「茶碗観」をお話しすることがあり、その流れで思わず「信楽大壺みたいに豪快な茶碗作ったほうがいいですよ!」とまたまたお節介なことを言う始末。。。でも、その一言が篠原さんの茶碗づくりを変えてしまったようです!?笑 そこからは、本当に「いよっ!男前!」という豪快さが茶碗からのにじみ出して、篠原さんらしさを存分に感じされる茶碗を目にする機会が増えて、個人的にはすっごくうれしかったです。

これなんて、すごくないですか?(写真では気持ちの10%くらいしか伝わらないので残念)
この茶碗にも面白い逸話があります。元々は友人が、僕が篠原さんのファンだということを知っていて、お祝いに小振りな茶碗をプレゼントしてくれる予定だったのです。たまたま、篠原さんの工房に行くことがあり、流れからその場で受け取ることに!

篠原:「これ、ちょっと小さすぎません?近藤さんは絶対こっちですよ!」

といって出してくれたのがこの茶碗。見た瞬間「一目ぼれ!」笑 その場で友人に電話して、

近藤:「プレゼントの茶碗、これにしてもいい?」

と確認して、めでたくこの子が我が手元に!爆笑

最後に篠原さんからとどめの一言。

「この茶碗を欲しいと思うのは近藤さんだけですね!」

はい!そうです。ライバルが少なくて心の中でほくそ笑んでいますが、この茶碗のすばらしさをもっと伝えたい!

アバ茶好み 信楽引出茶碗 銘「気層」

と、アバ茶道具記で紹介するはずの茶碗にたどり着くまで、すごい道草を食ってしまいました。。。改めて、今回の茶碗の紹介です。

篠原希 気層

毎朝お茶をして茶碗を紹介する「朝の一服」の1000回記念に開催した「朝の一服 100碗展」のときに、作っていただいた茶碗です。ご自身の誕生日月である「4月」の春をイメージした一碗。

窯が1200度以上の高温の状態から一気に引き出して急冷却させることで生まれる「ビードロ」と呼ばれる緑色のガラス質が見どころです。そして、この茶碗は「気層」という銘がついているのですが、春の新緑と信楽の朝もやを感じさせる、男前でありながら、清々しさを感じさせる茶碗です。

穴窯は、炎と気候(温度、湿度)との戦い。

電気窯のように窯の中を自在にコントロールできない分、自分の想像を超えるようなものが生まれたりすることもあるそうです。(以前、僕も自分で作った茶碗で「これはイマイチだなあ。。。」と思っていたものが、出来上がってきたら「ヤバい!格好イイ!!」と思ったことがあります。笑)

この「気層」もその中から生まれた「奇跡の一碗」ということですね!

アバ茶道具記 Vol.2 信楽引出茶碗 銘「気層」

作家名:篠原希(信楽)
作品名:信楽引出茶碗 銘「気層」
制作年:2014年

アバ茶道具記とは、「山上宗二記」や「大正名器鑑」などの名物茶道具について書かれた書物と同じように、アバンギャルド茶会好み「通称:アバ茶好み」の現代モダン茶道具について記した「茶道具記」です

アバ茶道具記 ~「アバ茶好み」の茶道具記

番外編:篠原希 アバ茶コレクション

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