アバンギャルド茶会 コラムアバ茶道具記 【アバ茶道具記 Vol.1】移動茶室「丿庵」のための金銀ペア茶碗 沼野秀章/刻ム音茶碗

【アバ茶道具記 Vol.1】移動茶室「丿庵」のための金銀ペア茶碗 沼野秀章/刻ム音茶碗


アバンギャルド茶会が後世に残したいと思っている茶道具を自分勝手に紹介する「アバ茶道具記」。第1回目は、アバ茶にとってなくてはならない存在の陶芸家 沼野秀章さんです。

陶芸家 沼野秀章さんとの出会い「宇宙十職」

沼野さんとの出会いは「Twitter」と今風です!笑

と書くととても軽くなりますが、アバ茶が2010年に開催した茶道具企画「宇宙十職」からの付き合いです。この出会いについては「陶芸家「沼野秀章」(宇宙十職「水星」担当) ~作陶への想いが変わった!」に詳しく書いてますのでご一読ください。(東日本大震災も絡んでいつもちょっと涙が。。。)

水星 沼野秀章

水星 沼野秀章

宇宙十職では「水星茶碗」を作ってもらったのですが、その後も何かと新しい茶道具作りに付き合ってもらっています。(どちらかといえば、押しかけ女房的に!?笑)

「刻ム音茶碗」は沼野さんの定番シリーズから生まれた

その中でも今回紹介する「刻ム音茶碗」は思い出いっぱいの一碗です。

知り合った当時から、沼野さんの定番「刻ム音シリーズ」は茶碗に向きそうだなあと思っていました。でも、自分の中でどうやってお願いしたらいいのか答えが見つからずにいました。これまでは「こんな感じで!」とざっくりと要望を伝えて、作ってもらっていました。それではつまらないし、一緒になって作りたいなあと思っていました。

「刻ム音ショットグラス」ブログ:酒とうつわの日々是好日 より引用

利休も「黒楽茶碗」を瓦職人だった「長次郎」と生み出したときも「あーでもない、こーでもない」と試行錯誤したはず!それって大変だけど、めっちゃ楽しいんだろうなあ~と妄想していました。

そんな折、笠間の工房にで話をしていたら「今から、一緒に茶碗を作らない?」と沼野さん願ってもない一言が!「これはチャンス!」と思い

「沼野さんの「刻ム音」で茶碗作りませんか?」

と打ち明けてたら喜んでくれて、その場でプロジェクト、スタート!「茶碗のかたち」はどうするか?「仕上げ」はどんな感じがよいか?など細かいところを調整しながら、気が付けば半年以上かけてひとつの茶碗と向き合っていました。

「沼野秀章」と究極の茶碗作り?~「刻ム音」シリーズをバージョンアップさせよう!

その時の様子もまとめてありますのでよかった読んでください!(本当に楽しい時間だったなあ~。その後も、何度か同じようなことを一緒にやってますが、やっぱりこの初回の感動は今でも忘れられません)

沼野秀章 刻ム音 アバ茶好み

沼野秀章 刻ム音 アバ茶好み

そして、これが「刻ム音茶碗」です。当初は「金」だけの計画だったのですが、途中で「銀もよさそうだよね!」ということから「金・銀」ペア茶碗になりました。

茶碗を活かすも殺すも「茶人」次第!?

茶道具を作るとき、常に意識しているのが

「出来上がった作品をどこで、どのように見せるのか?」

です。茶人は、茶道具を作ることではなく、出来上がった茶道具をプレゼンテーションすることが役割だと思っています。何をどのように組み合わせたら、茶会が面白くなるか?まさに企画力!

「刻ム音茶碗」も作りながら「どこで、どう見せるのが一番映えるか?」とずっと考えていました、そのとき、もうひとつ進めていた「移動茶室 丿庵」プロジェクトとコラボできないか?でした。こちらも語り出すと長くなるので気になった方は

移動茶室「丿庵(へちあん)」プロジェクト ~どこでもゴーゴー!

で「移動茶室 丿庵」ができるまでを克明に記しています。

移動茶室「丿庵」専用の茶碗「刻ム音」

何だか「シャア専用ザク」みたいですね。(ガンダム世代じゃない方、すみません。。。笑)

刻ム音茶碗をはじめて見る方は「ギラギラしてますね」と、人によっては怪訝な顔をします。だからこそ、「丿庵」にぴったりな茶碗だと思ったのです。豊臣秀吉が利休にプロデュースさせたと言われる「黄金茶室」をご存知ですか?熱海にある「MOA美術館」に復元したものが飾られています。

MOA美術館 黄金茶室

実はこの写真も「ギラギラ」しているのですが、実際に拝見すると薄明かりの中にぼんやりと浮かび上がり、なんとも神々しい姿をしています。考えてみてください、450年前の戦国時代に今のような照明器具があったでしょうか?ロウソクの明かりなど限られた採光だったはずです。

そうなると「黄金」はギラギラではなく、限られた光を取り込んで「黄土色」だったはずです。「丿庵」も照明はなく、日中でも薄暗くなります。だから、この「金」と「銀」の刻ム音茶碗は映えるという確信を持っていました。

沼野秀章 刻ム音茶碗

丿庵ではありませんが、どうですか?薄暗い茶室の中だからこその存在感、ありませんか?おそらくこれまでに500名以上の方に体験してもらいましたが、やはり丿庵の中と外では感じ方が全然違っていました。

沼野秀章 丿庵

ちなみに、丿庵はこんな感じでした。過去形?

そうなんです。諸事情により現在「丿庵」は運休中なんです。また「丿庵」を復活させて、是非「刻ム音茶碗」もそこで体験してもらえたらうれしいな!もちろん、茶碗は健在ですからまたアバ茶のイベントでお会いしましょう!笑

アバ茶道具記 Vol.1 刻ム音茶碗

作家名:沼野秀章(笠間)
作品名:刻ム音茶碗 金/銀
制作年:2013年

アバ茶道具記とは、「山上宗二記」や「大正名器鑑」などの名物茶道具について書かれた書物と同じように、アバンギャルド茶会好み「通称:アバ茶好み」の現代モダン茶道具について記した「茶道具記」です

アバ茶道具記 ~「アバ茶好み」の茶道具記

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