アバンギャルド茶会 アバンギャルドな人 【AVAな人 Vol.8】 陶芸家「叶具夫」(宇宙十職「天王星」担当) ~京焼の伝統を現代に活かす!

【AVAな人 Vol.8】 陶芸家「叶具夫」(宇宙十職「天王星」担当) ~京焼の伝統を現代に活かす!


叶具夫
陶芸家
叶 具夫 Motto Kano

 宇宙十職 「天王星」担当

1977年 三代松谷の二男として生まれる
2000年 同志社大学商学部卒業
2001年 京都府立陶工高等技術専門校 成形科卒業
2002年 京都府立陶工高等技術専門校 研究科卒業
2003年 京都市工業試験場 窯業科陶磁器コース本科修了
       三代松谷に師事
グループ展『瓢箪から駒~陶展~』以降毎年開催
2008年 『同志社大学クラーク記念館(国指定重要文化財)』
       修復工事に伴い 洗礼盤、聖餐台・講演台レリーフ制作
2010年 髙島屋京都店にて個展

昨晩、『宇宙十職 京都支部』の会合が開催されましたが
宴もたけなわ、お開きかなあ?というタイミングで

 宇宙十職 天王星担当 叶 具夫さん

 「今度、みんなで工房にも遊びにおいでや!」

と。今度?いつ?次回、京都に来る予定の3月に
話が落ち着きそうになりかけた瞬間

 「あの~。明日行ってもいいですか?」

なんと!?不躾な。。。笑 ぶぶ漬けだされたらどうしよう!?
なんて不安を抱えながら無遠慮に「東山五条」にある叶さんの工房
にお邪魔してきました。

三代続く京焼・清水焼の窯元『叶 松谷』

叶松谷

暖簾も風格があってさすがです!そもそも『京焼・清水焼』って何?
という方も多いはずですよね?私もその一人ですが叶さん曰く、

京焼・清水焼とは何でも出来る焼き物。
実は「何でも出来る」というのは簡単なようで難しい。
京都は元々「土」がないところで、九州から土を取り寄せています。
そんな感じで「京都」は昔から全国が全国から集まってくる拠点だった
からこそ「何でも出来る」ようになっていたんですよ!

と京焼・清水焼の原点について解説してくれました。これだけでも「へェ~」
なのに、ここからさらに「へェ~へェ~」が続いていきます。

叶さんは普通?の大学を卒業した後、ひょんなことからお父様と同じ
陶芸の道を目指すことに!師匠であるお父様から一番初めに言われたことは

叶具夫 工房

 「ここに並んでいるもん、全部洗え」

だったそうです。歴代が作ってきた作品を全部洗う!?初めは
なんでやねん!と思っていたものの、次第にその意味が分かってきた
そうです。

そうです。歴代の作品に触れて、絵柄や造形、厚み、大きさなど様々な
作品に込められた情報を手にすることで体で覚えるということだったの
ですね。

 「子供が継ぐといったら、俺も真っ先にやらせるね!」

と笑いながら話してくれました。笑

叶松谷 器

どうです!京焼は絵付が美しいだけではない「機能美」のかたまり!
この茶碗蒸し器は両手で配膳すると熱いため、片手で「ひょい」っと
持てるように設計されています。こんな技術も京焼の特徴。でも、この
技術も出来る職人がドンドン減っているのだそうです。。。

叶松谷 皿

さて、この六角形のお皿。
どうやって作ると思いますか?板状になったパーツを組み合わせて!
と思いますよね?違うんです。ロクロを回して、作っているんです。

では、どうやって六角形に!?

叶松谷 型

何に見えますか?まるで「キノコ」のような形をしているこれらは
ロクロで丸くしたものをこれらの型にはめ込んで最終的にしたい形へと
整形していくのだそうです。これが伝統的な京焼の技法のひとつなのだと!

こちらもできる職人が減っているようで、もっぱら板状に整形したパーツを
組み立てる方式になっているのだとか。では、この2点の工程で出来上がる
作品に違いはあるのか?

ちゃんとあるんですね!
板状に整形した器は角や面が本当にきっちりしている。でも、京焼の技法で
作った場合、一枚板なわけですから多少のひずみが出る。そのひずみがなんと
も言えない「味」となるわけですね。まあ、もしかしたら今の人たちは

 きっちり

した造形を好むのであれば。。。ですが。僕個人としてはそんな

 「ひずみの造形」

は本当に味があっていいなあ~と感じるわけですが、みなさんはどうでしょうか?

叶松谷 石膏

と、もちろん全てが丸いわけではありません。
これ、何に見えますか?「石膏型」なのだそうです。

徳利など特殊な造形をしている作品は、この石膏型の中に粘土を流し込んで
作るのだそうです!?いや~。本当にいろんな作り方があるもんですね!?

たまたま隣ではお父様も作業をされていました。
湯飲みの削りをされていましたね。

叶松谷 絵付

京焼は、分業制なのだそうです。
形を作って、絵付をする職人さんがいる!2階では職人さんがお茶碗に絵付中
でした。完全分業制をひいている窯もあるそうですが、叶さんのところでは大将
であるお父様も、絵付をされるそうです。

 「おい!こんな感じにしておけ!」

というだけでは誰も言うことを聞いてくれませんよね。だから、最低限自分でも
出来るようになる努力をせねば!と叶さんもおっしゃってました。

途中からお父様も参加してくださり、作家としての活動についてや「古清水」に
ついてレクチャーしてくださいました!

古清水

右のお皿が1500年代に作ら、完全な状態発掘されたお皿。
それをその当時の作品や顔料などを研究して、復元したのが左のお皿。
数百年前にはこんな色をしていたのだそうです!

そして、宇宙十職の話をしていたらお父様も嬉しそうに

叶松谷 三代目 銀河

 「これな、銀河をイメージして作ってん」

とご自身の作品を見せてくださいました!
やっぱり宇宙は永遠のロマンですなあ!!!笑

叶具夫 青白磁

そしてこちらが叶さんご自身の作品。
写真で表現するには限界があるのですが「青白磁」ですね!

「自分は環境的には恵まれている。
でも、それを受け入れて、言われたことを
言われたとおりに返すのではなく、その依頼を
越えるようなことで自分を表現していきたい」

と力強い発言!
そうですよね!あるものは最大限活用すればいいんですよね!
そんなものを妬んでいる暇があるならそれを越える価値を出す
努力をしなければダメですよね。笑

僕も親が茶道をしていたわけではありません。
だから、たくさん道具があるとか茶室を持っているわけでも
ありませんが、そんな環境で出来ることをやればいいと思って
います。その環境でどれだけ最高のパフォーマンスを出せるか!
これが大事ですよね。

さてさて、どんな宇宙茶碗が出来上がってくるのか!
楽しみでなりません!

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